PDAという至高のガジェット

スマホが世に広がる少し前、手のひらへ収まるガジェットの主役はPDAでした。

palmOSをはじめWindowsCE、Linuxなどの様々OSを搭載した機種が各メ ーカーから発売され、専門の雑誌なども発売されるほどだったPDA。

当サイトでは、その華々しかったPDA全盛期の記録を現代に振り返り実機種の画像などを交えWebで訪れるPDA博物館として公開をします。

PDAという情報端末

PDAが登場するまでは、持ち運びが可能な情報端末はノートパソコンだけでした。

当時のノートPCも軽量化モデルが存在していましたが、バッテリーの持続時間が少なかったことや何よりノートパソコンが今より高価で、ビジネス用とでも気軽に持ち運べる物ではなかっったと記憶しています。

PEG-NX73V

SONY製のPEG-NX73V

そんななか、コンパクトな筐体と低価格を武器に市場にあらわれたPDAという情報端末は人々の興味を惹くものでした。

手のひらマシンとしての座はスマホによって奪われた

パソコンを持ち歩く代わりに手のひらに収まる小さなPDAを持ち歩けることに利便性を実感された方は、まあまあいらっしゃったと言う程度だったかも知れません。

ただ、それに目を付けた人にとってPDAはとても便利でスタイリッシュなものだったことでしょう。

パソコンほど処理能力はありませんが、スケジュール管理やメモ帳、アドレス帳をメインとした機能のほかに多くのアプリケーションが存在しました。

iPhoneとSONY_UX50

そんな、時代を象徴するモバイルデバイスだったPDAはスマホの登場により市場を奪われることになります。

当初、キーボード搭載のスマートフォンが海外で販売されだした頃、PDAとスマホは市場でまだまだ共存できそうなほどでした。

ところが、アップル社のiPhoneの登場によりPDAは一気に市場の縮小を迫られることになります。

家電店からPDAが一瞬にして消えてしまったと感じたのを覚えています。

目的に特化した端末としての完成度は申し分なし

今でも数は少ないですが、電話はガラケーでネットやスケジュール管理はタブレットまたは薄型ノートを使うという方がいらっしゃいます。

ユーザー目線で語るなら携帯電話と融合する必要は皆無だったとも言えます。

小さなパソコンを耳に当てて通話をするというのはいかがなものかという話なのですが、それをどうこう言うより時代の流れに素直になり、スマホの高性能なカメラや数多く用意されたアプリを利用することで得られるメリットは多大なるものです。

こうして、いつのまにかPDAはその存在を忘れ去られ現在に至ることになりましたが、当時の技術は現在のスマホ技術にも充分貢献してくれたことでしょう。

こうした時代の成果を労い、電話という余計な縛りにも似た通信手段を持たない真の情報端末をもう一度振り返ってみましょう。

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縦型コンパクトなLinuxZaurus【SL-A300】

物理キーボード搭載を貫いてきたZaurusの中でも異色の縦でスタイリッシュなモデルが存在しました。

OSにLinjuxを搭載しキーボードレスのボディーを身にまとったSL-A300です。

Zaurusらしからぬスリムデザイン

PDAがもてはやされた時代に、私の頭の中は大は小を兼ねるより、「小は大より快適」といった理論で満たされていました。

このZaurusSL-A300は、クリエのT600やT400シリーズにも匹敵するコンパクトなボディーで、操作性よりも携帯性を重視したものと思われます。

Linux_Zaurus_SL-A300の正面

正面から見るとPalmデバイスに似たような見た目です。

SL-A300右側

本体右側面

本体の右側にはボタン類はありません。横から見るとボディーが薄型になっているのがわかります。

従来のZaurusからキーボードを切り捨てたスタイルがこれだというわけですね。

SL-A300左側

左側面

左側には、電源ボタンと赤外線ポートが配置されています。

SL-A300裏面

本体裏

裏側にはスピーカーとリセットボタンの穴のほか、オプションを装着するための凹みのようなものが存在します。

SL-A300上部

SDカードスロット

SL-A300が持つメディアスロットはSDカードスロットのみで、従来のZaurusが標準搭載していたCFスロットは、そのままでは使えない仕様です。

SL-A300インターフェイス

IOポート

本体の下には、IOポートがあり充電のときもこのコネクタを使用します。

SL-A300の仕様

小型Zaurusの主な仕様は次の通り。

大きさと重量はいずれもカバー無しの状態です。

  • OS:Linux
  • CPU:Intel_XScale_PXA210,200MHz
  • 大きさ:タテ113.0(mm)×ヨコ69.4(mm)×厚さ12.5(mm)
  • 重量:120(g)
  • メモリー:64MB(RAM)/16MB(ROM)
  • 電源:リチウムイオン充電地

使用時間は、明るさ最大で連続表示4時間となっていて、実際にはあまり持ちが良くない印象でした。

縦型キーボードレスZaurusの使用感

シャープのPDA_SL-A300

正直、所有してきたPDAの中で、SL-A300ほど実用的に持ち歩かなかった端末はありません。

というより実用度外視でこの小さなボディーの中でLINUX_OSが稼働している事実とそれを握りしめることができることに心躍った次第です。

現在でもLINUXを動かすことができる小型端末にRaspberryPiという汎用の小型基盤がありますが、SL-A300はバッテリーもモニタも搭載してこの小ささです。

もちろんビジネス用とで持ち歩いていた方もいらっしゃったと思いますが、自分としては存在自体がありがたいモデルだったのは間違いありません。

PEG-TH55は縦型クリエの最終モデル

クリエのTH55は縦型のモデルでは最終型として後期に発売されたモデルでした。

本体正面の液晶の表示域が広げられ画面の見やすさと操作性に斬新な改良がなされたモデルです。

背面ジョグダイヤルを備えて登場したTH55

PEG-TH55の特徴と言えば、本体背面にジョグダイヤルを装備したことと手書き機能が追加されたことなどがあります。

歴代のClieと比較しても縦型の最終モデルというだけあってか、他とはひと味違ったケースデザインでSONYの意気込みを感じます。

TH55の正面

カバーを開いたTH55

ハードウェアボタンは、正面の際まで追い込みその分画面を縦長に大きくしています。

TH55左側面

本体左に並ぶ操作スイッチ

左側面には電源ボタン、録音用のRECボタンシャッターボタンやシャッターカバーのスライドスイッチなどが集中して並んでいます。

TH55右側面

PEG-TH55の右側面

クリエをはじめPDAの多くがそうですが、にぎやかな左側面に対して右側にはスタイラスペンが収納されているくらいです。

これはPDAの使い方として左手で本体を握り右手にスタイラスペンを持つという使い方で、側面のハードウェアボタンは左手の親指を想定しているということのようです。

縦型CLIE最終モデルの本体仕様

TH55の主なスペックは以下の通りで、UX50などと同じく独自のCPUを搭載しているところが特徴といえるでしょう。

  • OS:日本語版PalmOS5.2.1
  • CPU:ソニーHandheldEngine 123MHz
  • 大きさ:タテ121.5(mm)×ヨコ73.3(mm)×厚さ15.7(mm)
  • 重量:185(g)
  • メモリー:32MB(RAM)/32MB(ROM)
  • 電源:リチウムイオンポリマー充電地

さすが縦型最終モデルだけあって本体の仕様はPalmデバイスとしては快適な構成になっています。

最新型だからといって薄さを追求することはなく電子的な性能に拘ったことが伺えます。

液晶のカバーを開けたTH55

PEG-TH55には、液晶画面を保護するための半透明カバーがあります。
クリエのモデルでも特に中盤以降の本体がストレートタイプのモデルにはカバーが標準で付くようになっているようです。

折り畳み式だと液晶を内側に折り畳んでしまえば画面を保護できますが、ストレートタイプだと傷が付きやすいという理由からでしょう。

よりモダン化されたPalmデバイスの使用感

本体のフォルムはSONYがPalmデバイスの完成形として打ち出した物だけあって格好良く言うことはありません。

TH55の背面

本体裏の上部にはジョグダイヤルを装備

マッドブラックに装飾されたケースの質感は、手になじむものですが好みによるかもしれません。

T400、T600などのように冬場のヒンヤリ感をあまり感じない点は評価したいところです。

また、TH55の標準の文字入力の方法は今までのPalmデバイスに用いられていたGraffitiと違うため、Palmデバイスを使い込んでいる人にとっては違和感を感じることがあったかもしれません。

キーボード付属のモデルであればキーボードを使えば良いだけですが、今さら「日本語文字を直接書き込んでもいいよ」と言われてもスタイラスを持った手はGraffitiの動作をしてしまいます。

クリエの開発者が目指していたのは、ビジネス用の機器ではなくPC環境をハンドヘルドに納めた総合的なデバイスなのでしょう。

しかし、こうした小型デバイスに求められた物がそうであったかどうかは微妙なところです。

個人的な意見としては、モノクロで動作速度やメモリ容量をアップさせたモデルを継続して出して欲しかったと思っています。

T400でバッテリー性能を強化させ、Wifi、Bluetoothを搭載させてもらえば簡単なWebアクセスとメールチェックが容易になります。
キーボードの搭載もTG50程度のもので充分だと感じます。

ビジネス路線に特化したロングセラーモデルを現代に渡って売り込むことは、日本の企業の商業戦略には見合わない物なのでしょう。

オーソドックスな10桁、12桁の電卓などは需要が衰退することがないのに、スマホの市場拡大が押し迫る中でPDAは無理に進化し続けなければならない情報機器だったようです。

CASIOのPocketPC【カシオペア:E-750】

PDAとしては大きめの本体であるCASSIOPEIA_E-750はカシオが本気で作ったPDAと言える機種です。

E-750が登場した頃は、ノートパソコンも薄型というのが殆どなくこのモデルが持つPocketPCというスタイルはガジェット好きには画期的なものでした。

カシオの本格PDA_E-750

CASSIOPEIA_E-750はカシオのPocketPCの中でも高スペックなモデルだったと記憶しています。

濃いグレーを基調にしたデザインも当時としてはとてもモダンなもので次世代の小型PCと呼ぶのに相応しいものでした。

正面から見たE-750

本体正面には画面下に4つのハードウェアボタンが並んでいます。

左側にはボタン類が並ぶ

左側側面には電源ボタンと録音用のボタンに加え、なんとWindowsボタンに加え操作レバーと赤外線ポートとハードウェアボタンが満載。

さすがCASIOが誇るWindowsCEマシンの王様。

E-750の右側

右側面にはスタイラスが見えるほか装備はありません。

E-750のCFスロット

本体上のCFスロットにはCFタイプのPHS通信カード(DDIポケットなどが販売)が挿入可能になっています。

E-750本体下のインターフェイス

本体の下には、パソコンとの接続に使う通信ケーブルのコネクタ挿入口とACアダプタ用のジャックが配置されています。

E-750の製品仕様

PocketPC_E-750のスペックは次の通り。

  • OS:WindowsCE
  • CPU:VR4131
  • 大きさ:タテ132.2(mm)×ヨコ83.6(mm)×厚さ20.0(mm)
  • 重量:250(g)
  • メモリー:32MB(RAM)/32MB(ROM)
  • 電源:リチウムイオン充電地 ※バックアップ用にボタン電池が必要

このモデルの発売時期にはまだBluetoothは普及し始めていなかったころで、PDA全盛期のWinCE端末にはE-750も含めほとんど採用されていません。

メモリ容量は、後に登場したBE-500の倍の容量を搭載し当時の機器としては操作性は上位レベルと言えます。

WinCE機E-750の完成度

カシオペアE-750は通信カードを使えば、メール、インターネットが可能で、モバイル向けではあるもののWord、Excelのソフトも内蔵されていて簡単な情報管理は可能という万能モバイル機器です。

E-750は万能モバイル機器

カラー液晶もTFTを搭載していて視認性も抜群でした、搭載するランチャーもWindowsらしいUIデザイン。

評価できる点は、WinCE機だけにCFスロットを使ってWifi通信が可能でその設定も分かりやすいものでした。

SONYのクリエがエンターテイメント性に注力していたのに対し、カシオペアも動画再生などの機能は備えていました。

ただ、こうしたモバイル機器を使う人は外での通信手段の確保を重視している人が多いのではないかと当時疑っていました。

動画などを外で見るのは、なんだか落ち着かないような気がします。

端末の選定に通信手段を重視するのならば、初期のPalmOS機よりこちらのE-750に軍配が上がります。

そんな、モバイラーにとって十分な環境を与えてくれるのがE-750のようなWinCE機だったことでしょう。

もちろん、シャープのザウルスも有効な選択肢の一つにはなっていたのは事実ですし、Palm端末にもガラケーと接続するケーブルは存在しました。

それから、カシオペアE-750はサードパーティー製のCFスロットに対応したGPSアダプタが存在しました。

SONYのMSスロット用よりこちらの方が先に発売されていたと思ったのですが今となっては定かではありません。

このCF用GPSアダプタをE-750で使用すれば簡易のカーナビとして使用する使い方ができました。

当時、カーナビゲーションはとても高価で、WinCE機では必要範囲の地図を予めPCから転送するなど難易度の高い操作が必要でしたが、ガジェット好きの私には心躍る装備品だったものです。

今となっては、ここまで書き連ねた機能は薄っぺらなスマホが驚くほど高性能にこなしてくれますが、E-750を含め当時の最先端PDAがたどってきた技術の集大成がそこに組み込まれているのは事実でしょう。